ウィーン工科大学とシルバコ、MRAMデバイスの新技術開発で協業

クリスチャン・ドップラー研究所の新設で、次世代コンピュータ・メモリの解析および開発におけるシルバコとの技術パートナーシップを拡張

左から右へ:Eric Guichard (シルバコTCAD Division VP)、Wolfgang Goes博士 (MRAM CDL Manager for Silvaco)、Gerhard Klimeck教授 (パデュー大学, Director of Computational Nanotechnology, Silvaco Technical Advisor)、Viktor Sverdlov博士 (TUV MRAM CDL leader)、Johannes Frohlich教授 (Vice Rector for Reseach TU Wien)、Ulrike Unterer教授 (BMDW, Vice President CDG & Head of Department for Research in Technique and Economy)、David Dutton (シルバコCEO)、SiegFried Selberherr教授 (ウィーン工科大学マイクロエレクトロニクス研究所所長)、Tibor Grasser教授 (ウィーン工科大学マイクロエレクトロニクス研究所)

米国カリフォルニア州サンタクララ発 – 2018年11月26日 – Silvaco, Inc. (以下シルバコ) は本日、ウィーン工科大学マイクロエレクトロニクス研究所と提携し、2つ目のクリスチャン・ドップラー研究所 (CDL) を設立すると発表しました。CDLは、11月12日に正式に開設され、新型の不揮発性メモリ・テクノロジであるMRAMの新しいデバイス・シミュレーション・ソリューションを開発する予定です。

「止まることのない低消費電力化と大容量化の要求により、メモリ・コンポーネントはますます小型化しています。」と、ウィーン工科大学マイクロエレクトロニクス研究所のSiegfried Selberherr教授は述べています。「現在、既存技術は小型化の限界に達しており、その代替として、新しい技術が開発されています。新設されるクリスチャン・ドップラー研究所は、代替メモリの基礎研究を行い、この新しい知識を半導体ビジネスおよびお客様の発展に生かすことにより、大きく貢献するものと考えています。」

磁気抵抗メモリ (MRAM) は不揮発性メモリ・テクノロジで、DRAMおよびSRAMの主要な代替手段となる可能性があり、将来的にはデジタル・デバイスのユニバーサル・メモリとなる可能性があります。MRAMは、SRAMと同等のメモリ密度に対して低消費電力で小さいエリアでありながら、同程度の処理速度を持ちます。この特性により、MRAMは、性能と不揮発性が必要となる車載および産業などのアプリケーションに適したものとなっています。

「新しいデジタル・デバイス・テクノロジが、次世代の民生および産業分野の高性能コンポーネントを可能にします。」とウィーン工科大学マイクロエレクトロニクス研究所の新クリスチャン・ドップラー研究所所長のViktor Sverdlov博士は述べています。「MRAMは、さらに高いメモリ密度、そして低い消費電力を実現し、現在のソリューションを超えてメモリを拡張できる可能性を持っています。この新しいデバイス技術に対応するTCADデバイス・シミュレーションは、この産業に革新をもたらす上で必要不可欠なステップです。」

「TCADシミュレーションは、新技術の立ち上げ、立証、最適化で常に重要な役割を果たしてきましたが、MRAMを始めとする新型メモリでも同様です。」とシルバコ、TCAD DivisionのVPおよびGM、Eric Guichardは述べています。「シルバコには、新技術を開発してきた長い歴史があり、今回新設されるCDLは、シルバコのTCAD開発部門に新たに加えられます。シルバコのTCAD開発部門では高速TCAD、先端ロジックに向けた原子シミュレーションおよびスーパーコンピュータのための極低温シミュレーションの開発も進めています。今回のウィーン工科大学マイクロエレクトロニクス研究所との技術パートナーシップにより、半導体設計の最先端でともに研究を続けられることをうれしく思います。」

概要:ウィーン工科大学マイクロエレクトロニクス研究所

ウィーン工科大学マイクロエレクトロニクス研究所の中核的な研究の焦点は、半導体デバイスやプロセスのシミュレーションのためのモデルやソフトウェア・アルゴリズム、ツールを開発することにあります。このようなツールは、既存のULSI半導体デバイスを向上するため、または新技術開発を支援するために利用されます。研究所には製造設備への直接的なアクセスがないため、研究の成否はヨーロッパ、全世界の業界パートナーとの密接な協力に強く依存しています。また、当研究所はオーストリアとヨーロッパの研究プログラムにも関与しています。
www.iue.tuwien.ac.at

概要:クリスチャン・ドップラー研究団体 (CDG)

クリスチャン・ドップラー研究団体(CDG)は、科学と民間セクターの間での優れた協力を生み出すオーストリアのパイオニアと見なされています。25年間にわたり、クリスチャン・ドップラー研究所は、企業と科学の相互利益となるよう、協力パートナーがアプリケーション指向の基礎研究を行なえる機会を与えてきました。同研究所は、アプリケーション志向の基礎研究への融資を行い、新しい知識に企業が効果的にアクセスできるようにし、事業と科学の間のインタフェースとして活動します。
www.cdg.ac.at

概要:Silvaco, Inc.

Silvaco, Inc.は、TCAD、EDAソフトウェアのリーディング・プロバイダです。プロセス/デバイス・シミュレータや、アナログ/ミックスド・シグナルIC、パワーIC、メモリなどの設計自動化ツールを提供しています。また、Silvacoは、TCADからサインオフまでの完全な開発設計フローをカバーする製品ラインナップを半導体企業に提供します。ディスプレイ、パワー・エレクトロニクス、光学デバイス向けシミュレーションや、放射線の影響やソフトエラーに対する信頼性検証、先端CMOSプロセスやIP開発向けシミュレーションなど、幅広い用途に対応できるさまざまな製品を取り扱っています。Silvacoはこれまで30年以上にわたり、お客様がコストを削減して市場投入までの時間を最短化し、競争力のある製品を開発することに貢献してきました。Silvacoは米カリフォルニア州サンタクララに本社を置き、北米、ヨーロッパ、日本を含むアジア各地に事業拠点を構えており、今後も世界中のお客様に優れた製品とサポートを提供してまいります。

本件に関してのお問い合わせ:
jppress@silvaco.com